日本の建国神話「ウシハク国からシラス国へ」

1、 要旨

我々日本人は日本国の建国時を知っていません。それは神話の形でしか残っていません。「日本よ永遠なれ」赤塚高仁著にその建国の一部が記されていますので、以下に紹介致します。

2、「ウシハク」国から「シラス」国へ

 日本も力ある者が権力を支配する「ウシハク」国でした。支配者の名はオオクニヌシと言います。オオクニヌシはすばらしい統治者で、国は富み栄えました。しかし、いくら栄えても力によって治められた世界は争いの止まない覇道の世界です。そんな「ウシハク」世界に、アマテラスがメッセージを送ります。「汝ウシハクこの国はシラス国ぞ」。「シラス」とは「知らす」ということ。支配するのではなく、和することで治めていくのが日本という国であるというのです。

 「ウシハク」世界が生み出すものを知ったオオクニヌシは自分の天命を知りました。国を譲ることにするのです。オオクニヌシは譲るに当たり、条件をつけました。「私の拝する神をそのまま祀らせてもらいたい」ということでした。私たちの天皇の祖先であるアマテラスは、オオクニヌシに彼らの信仰を認めます。オオクニヌシを祀る出雲大社は40数メートルもの高さの神殿があったことがわかっています。

3、天上界から地上に神が降り立つとき

 アマテラスは天が願う愛の国の完成のために、自らの孫であるニニギを地上に降臨させ、瑞穂の国の民たちと共に心合わせるように命じます。「統治しなさい。シラスのです。幸せでいなさい」そのような祈りをもって国造りを願われたヤマトです。「天の願いを地上に顕す」ということこそが、わが国の建国の発心だったのです。

 アマテラスはニニギを降臨させる前に三つのことをお命じになりました。「三種の神器。斎庭の稲穂。天壌無窮の神勅」この天照大神の三大神勅は忘れてはならない日本建国の背骨です。まず「三種の神器」。「八咫の鏡」はアマテラスが天岩戸にお隠れになった時にアマテラスの姿を映した鏡です。第二には天岩戸からアマテラスを招き出した「八坂の勾玉」。そして第三に「雨の村雲の剣」。アマテラスの弟スサノオが八岐大蛇の尾から取り出した剣です。ヤマトタケルがこの剣を使い、焼津で草を薙ぎ払い炎の海から逃れたことから、「草薙の剣」と呼ばれる。今も天皇の御位のしるしとして受け継がれています。いまなお、八咫の鏡は伊勢神宮内宮に、八坂の勾玉は皇室に、草薙の剣は熱田神宮に祀られているのです。

 次に、「斎庭の稲穂」には国民を飢えさせてはならないというアマテラスの祈りがこめられています。葦原を「瑞穂の国」に開拓して暮らしをたてなさい。稲作によって、国を豊かにしてゆくのですよという神勅なのです。

 そして、「天壌無窮の神勅」です。これこそが日本建国の原点です。「豊かな葦原である我が両親が生み出した国は、秋になると瑞穂がたわわに実る、私の子孫が治めるべき国です。さあ、皇孫であるニニギよ行ってシラス国にしてきなさい。そして幸せでいなさい。我が子孫と国民が和をもって瑞穂の国を治めてゆくなら、私の国は宇宙が存在する限り、地球がある限り栄えてゆくでしょう」。先祖から脈々と流れるヤマト建国の想いこそ、光の国を地上に実現する日本の神話の根っこであり、命なのです。

4、地上世界を「知る」

 こうしてニニギは天孫降臨し、南九州にやってきました。ニニギはまず地上世界を「知る」ことから始めました。ある日、ニニギノミコトは笠沙の岬で麗しい娘に出会いました。娘を見初めたニニギノミコトは「あなたは誰の娘か」とお尋ねになります。娘は「大山津見神の娘で木花咲耶姫神と申します」と答え、ニニギノミコトが兄弟についてお尋ねになると「姉の石長比売がおります」と申し上げました。大山津見神は山の神です。ニニギノミコトは早速、大山津見神のところへ結婚したい旨を伝える使いをやると、大山津見神は大いに喜び、木花咲耶姫神に姉の石長比売を添えて、たくさんの嫁入り道具を持たせて送りだしました。

ところが、容姿端麗な木花咲耶姫神に対し、姉の石長比売はとても醜かったのです。ニニギノミコトはその醜さに驚き恐れ、その日のうちに石長比売を実家にお返しになりました。

大山津見神は石長比売だけが送り返されてきたので、大きく恥じ次のように言いました。「私が二人の娘を並べて差し出したのは、石長比売を側においていただければ、天つ神の子の命は雪が降り、風が吹いたとしても常に石のように変わらず動きませぬように、また木花咲耶姫神を側においていただければ木の花が咲くように栄えますようにと、願いをかけて送り出したからです。このように石長比売をお返しになり、木花咲耶姫神ひとりを留めたのですから、今後、天つ御子の子の命は桜の花のようにもろくはかないものになるでしょう」これ以来、天皇の御命は限りあるものとなり、寿命が与えられて短いものとなったのです。

 ニニギの息子、火遠理はワダツミの神、すなわち海の神と縁を結びます。山と海の神との縁を結び、地上界のことを「お知りになった」ので、いよいよ火遠理の孫、ヤマトイワレビコは神話の里、南九州から東へと向かうのです。飛鳥で強大な権力を持つ長髄彦を平定するため、船団を仕立てて出航するのです。大阪、河内に上陸しようとすると、強力な長髄彦の軍団に攻撃され、撤退を余儀なくされます。航路を変えて、紀州は熊野に上陸し、天照に誓うのです。「いよいよこれから長髄彦との戦いに向かいます。天照様、どうぞ天上界からのご支援よろしくお願いします。民をひとつにまとめあげ神が願うような国を建国します」すると天から神の霊が注がれ、イワレビコは霊的な人に変えられるのです。長髄彦は強く、苦しい戦いになりました。イワレビコは最後に雄叫びの祈りをします。「これは天が願った国をこの地上に建国するための戦いだ。天照大神の願いを実現するための戦いである限り、ウシハク者たちに敗れるわけにはいかない。神よ我を助け給え!」そのとき空が一面にわかに掻き曇り、雲の切れ間から一条の光が射します。その光とともに金色の鳶が飛んできて、イワレビコの弓に止まると燦然と輝きだした。長髄彦の兵士達はそのあまりの神々しさに畏れ、ひれ伏し、かくして血塗らずして戦いを終わったのでした。こうしてイワレビコは橿原に宮を築き、三種の神器を祀りました。そして、即位して初代、神武天皇となったのです。イワレビコは建国宣言します。紀元前660年2月11日のことです。

 神武天皇はアマテラスが願った「シラス」国の建国に際し、その理念を「八紘一宇」という言葉で表しました。八紘一宇とは「人類は同じ屋根の下で暮らす家族なのだ」という壮大な神の愛を表す言葉です。家族において、家長が家族から搾取するなどということは考えられません。一番強い者が見返りを求めることなく弱い者のために働く制度を家族というのです。

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