マイカートラブル教訓

筆者が自宅で所有している自動車は2台あるが、最近、その2台ともトラブルにより事故になりかねない状態、つまりヒヤリハット場面に遭遇したため、そこから得た教訓を記す。


車種はトヨタのシェンタ(昨年11月に購入)、とトヨタのパッソ(購入後6年経過)である。

まず、シェンタの不具合は、加速不良である、数回発生している。

ある日通勤の朝、始動後すぐに加速が利かず、エンジンが唸るような感じで時速40km/hまで上げることが難しい状態になり焦った。街中の通勤において、こちらの車があまりにも遅いため後続車もノロノロ運転になり、渋滞気味でムリに追い抜きをかける車も出た。この状況で30分以上も運転しているため、危険性を感じながら不安であった。

高速道路で発生した場合は、危険性は勿論だが県道などと違い脇に寄せて停止することはできないので渋滞、周囲の方に大きな迷惑を及ぼす。。

発生都度、ディーラーに連絡して持ち込み、一度、スパークプラグを交換したが真の原因ではなかった。原因調査のため、サービスマンが車にパソコンを接続通信、30分ほど試乗して車の稼働データ(エンジン関係の項目に対する数値)を抜き取り、調査したが、3回目の現時点まで原因はつかめていない。販売店経由でメーカーへ連絡をしてもらっているが、解析と対策方法に時間がかかり、結局はディーラー側で考えられる原因を推定しての対応になった。最近の車の特徴は、よく知られている通り、各電装部品をコンピュータ制御しているため、複雑でディーラーもいろいろ対応しているが苦しい回答である。


もう一台のパッソは、ノッキングによる走行不良である。

所用のため片道2時間の目的地による往復であったが、自宅に着く30分前に、急に車のノッキングが発生して、加速もままならず、ようやく30km/hくらいの速度でアクセルを踏み続け、ノッキングにより車体が大きく振動しながら冷や冷や運転で、自宅に到着。直ぐに、近くの修理工場で見てもらった。

原因は、エンジンのスパークプラグ上のイグニッションコイル(パッソは3気筒、スパークプラグに高電圧を発生させる機能)の1本が焼き切れてしまったとのこと。

サービスマンによく聞いてみると、パッソのエンジンは小型車なのでダイハツ製を使用しているとのこと。このダイハツのエンジンでは、イグニッションコイルの故障頻度が高く、今までの何台もこの工場では交換しているとのこと。(トラブルに遭遇しているユーザー数が多い)

超一流メーカーであるトヨタの技術を疑うことなく信頼していたが、このようなトラブルが発生するような性能の車が発売されているとは信じがたい事であった! 

しかし、トヨタといえども、何万点の部品から構成される自動車の信頼性をどこまで満足できるかということを冷静に考えれば気が付く。


それは、ある車種を設計することに対するコストと信頼性の関係であろう。

どのような製品であれ、ある設計条件を決めて、その中で製造や製作に必要なコストを計算するわけだから、ある条件下を逸脱すると安全安心の状況ではない、つまり1部品の故障につながるため、それが自動車というシステム全体のエラーになり、走行不良を発生する。だから、定期点検・車検にかかるコストは人の命を保証するための必要コストになる。

※メーカーや販売ディーラー側は、顧客からのトラブルに対する情報の共有化や、その原因追及と技術改善をしている。それにもかかわらず、リコールや今回のような偶発的なトラブル(故障)が発生する。

運転の快適性は進歩しているが逆に、販売コストと製品設計における安全性のバランス、つまり製品設計上のトレードオフ(冗長性)ということになるのか? これはすべてのことに言える問題である。

ディーラーは、顧客の信用の低下は命取りになるので、うまく説明しながら解決を図ろうとしてる。

しかし自動車は今後、「自動運転車」の時代に入っていくが、発売までの間メーカーはしのぎを削りながら自動運転のためのハードルをいくつも超えながら開発を続けている。

3.11における福島の原子力発電による大きな事故は、人類が「科学(理論)」と「工学技術(安全なモノづくり)」の一致に至るには、大きな壁があり難しいのだ!という証明したといえる。

安全性や品質を高めればコストアップになる、適正コストにしなければ販売数量は期待できない等・・・

メーカーの品質レベルに対する消費者の安全安心をイコールにするには、完全なトレードオフと言わざるを得ない。

だから、この弱みは、製造コストの関係上、閾値を決めて許容せざるをえないのが市場競争力を保つ上で進むべき道なのかも知れない? 


(田口技術士事務所資料を一部掲載)

トレードオフの存在は技術革新やイノベーション、製品差別化の源泉でもある。安価だが安全な製品、デザイン性が高いのに使いやすい製品、といった難しいトレードオフを解決できれば、社会を大きく変えるような製品を生み出せる。コストは掛かってでも、地球環境に優しい製品作りをするといった自社戦略を掲げれば、それは他社との差別化にもつながる。

製品設計には必ずトレードオフが発生するのでトレードオフへの対応は最も重要なプロセスの一つになる。競争戦略論においても「捨てる」ことの重要性が強調される中、自社戦略に基づき「両立を目指す部分」と「捨てる部分」を明確にして対応することが重要だと考える。

最後に

自動車産業に限らず、すべての設備や装置産業などのメーカーが常に自問自答しているトレードオフは、永遠の競争戦略につきまとう重要な課題であることを今回の事例は示しており、筆者自身にとって良い教訓になった。

                                                                                                                             終わり

サウンドスクエア 株式会社

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